Information overload
Mirjam Ala-Rachi
2015年7月21日(火)~26日(日)
作品コンセプト
私はシリアとトルコからの移民の子としてドイツで生まれ育ち、アラビア、ドイツ、トルコの間を移動しながらそれらの文化を経験してきました。そうした中で、私たちのグローバル化社会の問いと課題を作品の制作過程を通して理解しようとし、様々な観点からこの複雑なテーマを表現しています。
私は多様な素材(紙や布など)と技術を混合して制作しており、伝統的な確立した芸術スタイルはありません。しかし、私の作品は哲学とシルクロードの国々(特に中東とアジア)の建築から少し影響を受けています。
作品 ”Information overload”は、世界中の社会が同様に影響を受けているコミュニケーションテクノロジー(通信技術)を扱っています。
私たちは情報技術の時代に生きています。私たちが入手可能な情報量は増大し、同時に情報伝達速度も増加しています。時には、情報の過剰な負荷が終わりのない唸りのように強くなり、私たちにとって本当に大切なことが見えにくくなります。つまり、私に情報を与えてくれる大切なものは本なのですが、本は真っ黒に塗られているために、もはやアクセスできなくなります。この作品のために使ったインクマーカーは、ノイズ、つまり、私に影響を与えた様々な事を具体的に表現しています。すべてのページに線を引き続け、マーカーが引っかく音を聞きながら、不安へと、諦めへと旅立つ私の情念が、やがて浄化されていく様々な階梯を上っていく経験をしました。
このプロセスを通り抜けた後、強い安堵感を感じました。そしてそれが今回展示する二つ目の作品“Prayers”となります。それは日本語で言う「お守り」で満たされた場所です。この場所では名前のない神のような存在が崇拝され、無条件ですべての人に開放されています。その存在(神)がたった一つなのか、それ以上なのかは、限られた思考しかない私にはわかりません。しかし、この存在(神)が、日々経験する情報過多への私の何らかの個人的な答えになります。この存在(神)を崇拝するうちに、治癒と防御を私は見つけます。
プロフィール
Mirjam Ala-Rachi/ミリアム・アララシ
1986 フリッツラー(ドイツ)生まれ
2007‐2012 Hochschule Hannover-University of Applied Science and Arts
ハノーバーの応用科学と芸術大学でファッションデザインを研究し卒業
2009‐2010 広島大学交換留学生として染織専攻
2013 京都大学日本語プログラム
2013‐2015 京都市立芸術大学研究生として染織専攻
2015‐ 同大学研究院
展覧会
2013・11 Hors D’Oeuvreオードブル展 (京都市立芸術大学大学院1回生と研究生展)
2013・12 京都市立芸術大学 第25回留学生展
2014・01 collection/connection マヤ・アンデス染織につらねる新しいカタチ
2014・02 京都市立芸術大学作品展
2015・02 Play ground 京都市立芸術大学
染織専攻のかばん展 ギャラリーギャラリー(京都)
2015・03 個展+ライブイベント フリースペース Gelegenheiten Berlin (ベルリン)
ピンバック: [次回の展示]Mirjam Ala-Rachi 展「parting 」2017年 2月21日(火)〜 3月5日(日) 月曜休廊 15時〜19時(最終日〜18時) | Art Spot Korin